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伊根町の舟屋群

 穏やかな湾沿いに舟屋と呼ばれる家屋が延々と並ぶ。京都府伊根町。国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている舟屋群に先日、観光交流施設「舟屋日和」がオープンした▼町が5億円余りをかけて整備した。周囲にデザインを調和させた5棟の建物があり、すし割烹(かっぽう)店やカフェが営業する。舟屋巡りの途中に、飲食しながら伊根湾の景観を楽しめる▼運営するのは、地元の有志でつくる株式会社だ。社長の鍵賢吾さん(46)は故郷に戻り、実家の舟屋を改装し民宿を経営する。地域で暮らすと夜遅くに飲食できる場所が少なく、舟屋日和は自身が求めていた施設でもある▼スタッフは地元の人たち。大阪からUターンしてきた女性もいる。鍵さんは「地域に育ててほしい」と地元目線を大切にしている。経営を軌道に乗せ、後に続く動きに期待する▼町では今月、独自に屋外広告を規制する府内3例目となる条例が施行された。景観保全、観光振興と打ち出す一手で魅力に磨きをかける。ただそこは生活の場。観光客が押し寄せれば交通渋滞やマナー違反と摩擦も生じる。住民と良い関係を続ける知恵が必要になる▼春の日差しに海は輝き、船がゆっくりと行き交う。間もなく始まる大型連休。少し足を延ばし、ゆったりした時間に身を委ねるのも楽しい。

[京都新聞 2017年04月23日掲載]

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