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仮想通貨長者

 たまたま手にした1本の藁(わら)がミカンに代わり、さらに絹、馬になって最後は大邸宅に。「わらしべ長者」は物々交換で大金持ちになる話だが、現代は寝ている間に「仮想通貨長者」になる人がいるそうだ▼ビットコインなどの仮想通貨は昨年来、日本でも人気に火がつき、取引相場が数倍、数十倍と跳ね上がっている。持っていたコインの価値がいつのまにか1億円超に-と、新年の初夢のような話がネット上をにぎわしている▼その高騰の一因が、仮想通貨を介して事業資金を集める企業や起業家の存在だ。株式による資金調達よりも簡便なため需要が高まり、コインの相場上昇に拍車をかけている。世界中の投資家に呼びかけ、巨額を集めた若者もいるという▼半面、事業が成功して利益が還元される保証はなく、不正防止の仕組みづくりも追いついていない。うその事業計画を見せられ、コインを送った後で「しまった、だまされた」なんてことも十分あり得る▼昨年初めに千ドル前後だった1ビットコインは年末に一時2万ドルを超えた。かと思えば、今週は急落と落ち着かない。海外での規制強化の動きが投資家の懸念を呼んでいるようだ▼わらしべ長者は幸せな結末を迎えるが、昔話は大抵、欲をかくと不幸になると教える。うまい話には重々ご注意あれ。

[京都新聞 2018年01月18日掲載]

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