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学校の人物画

 明治-昭和期、京都の学校ではどんな人物画が飾られていたのか。そんなテーマの企画展(4月11日まで)を京都市学校歴史博物館で見た。古くから美術工芸の盛んな土地柄らしく、いずれの絵も卒業した画家や近所に住む画家が描き、学校に寄贈したという。高名な画家も少なくない▼坂本龍馬や二宮尊徳、菅原道真、紫式部といった歴史上の人物。中にはフランス革命がスイスに及んだ騒乱の下、孤児院や貧民学校を設立した教育実践家、ペスタロッチの姿も見える▼名もなき農村女性や糸の巻きとり遊びをする少女を描いた素朴な絵もいくつかある。何を描くかは画家自らが決めたそうだ。それぞれに子どもたちの学びや育ちに対する画家たちの願いがにじみ、当然ながら「修身」の時代の価値観も映し出す▼会場を巡りつつ、ふと考えたことがある。きのう国会で証人喚問に臨んだ森友学園の籠池泰典理事長は、もし小学校が開校できていたらどんな人物画を飾っただろうか、と▼教育への思いは強い人なのだろう。だが、「お国のため」といい、運営する幼稚園の園児に教育勅語を暗唱させるような教育はあまりにも歴史への反省を欠く▼心酔してきたという安倍晋三首相とは今や切り結ぶ関係だ。目指す教育の方向に揺らぎはないのか、聞いてみたい。

[京都新聞 2017年03月24日掲載]

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