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(30)現代美術家 金氏徹平

「白地図」 既製品を組み替え、再構築
「白地図」(2011年)=撮影:福永一夫 写真提供:国立国際美術館
「白地図」(2011年)=撮影:福永一夫 写真提供:国立国際美術館
  雪に覆われた街のような模型。雪の下は色とりどりの物品が組み合わされて、一つの構造物をなしている。それは、プラスチック製のバケツ、スコップ、チューブ、ボール、パイプ、手押し一輪車、恐竜やクジラの模型、双眼鏡、ゴム風船など。多様な日用品が積み重なる造形は、昨年の国立国際美術館「世界制作の方法」展で金氏徹平(1978年~)が発表した作品だ。本来、別の文脈で使われてきた品々なのに、石こうの白い粉をふりかけると、空間の中に一つのまとまりとして現れ、一つの時間の流れに組み込まれてゆく。

 かたくり粉や樹脂など白い物質をかける作品は、学生時代から制作している。例えば、並べたフィギュアに白いジェッソをかけたシリーズ。「アニメやゲームのストーリーを持った一つ一つが、そこから切り離されて並ぶと、ストーリーが混ざって一つの空間に設定される感じが面白い」。全く異質なもの同士が表面でつながって、一つの集合体になる。その着想は、ベンツとその横にあった犬の糞が雪をかぶった風景から来たという。

 京都市生まれ。京都市立芸術大で彫刻を学び、30歳にして横浜美術館で大規模個展を開いた。金氏を特徴づけるのが、既成の工業製品、廃品、何かの部品から物語性、素材の属性を取り去り、組み替えてコラージュ的に再構築していく手法だ。それは「既にある世の中の仕組みや物語と簡単にコミットできるやり方」という。

 近年、別の作家とのコラボレーションも盛ん。「世界とのかかわり方を考えた時、思い通りに行かない状況とか、他人の存在とかそういう要素が入ってこないとおかしい。自分の作るものにも違う可能性が見えたり、別のとらえられ方をしたり、異なる用途を与えられて広がりが出る」。そうした延長ともいえるのか、昨年初めて舞台美術を手がけた。

 「いつもの作品を舞台に上げたらどんな風に見えるか。舞台上では作品でも人間でも現実でも、フィクションになってしまう。その場所に置くだけで意味が変わることに意識的になった。人間や時間がさらに作品にかかわるようになってきた」と手ごたえを語る。12日に東京・シュウゴアーツで始まる個展は、この舞台美術作品と、その経験を反映した新作の立体と平面を展示する(6月23日まで)。=おわり

現代美術家 金氏徹平

「子どものころから、おもちゃとおもちゃを組み合わせてコラージュしてました」と語る金氏徹平(京都市西京区・京都市立芸術大)
 「子どものころから、おもちゃとおもちゃを組み合わせてコラージュしてました」と語る金氏徹平(京都市西京区・京都市立芸術大)

【2012年05月12日掲載】