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僕らのルール

【質問】勉強する気のない友人にどのように声をかければいいか、分かりません。

 僕の友人は、やるべきことよりやりたいことをしてしまう人です。どれだけ言っても学校の課題もやらない、提出物も出さない。でも、根は真面目だから、罪悪感を覚えていると思うのです。どういうふうに声をかければ良いか、どのような話し方をすれば良いかが分かりません。友人は「課題をせずにどんどんたまる⇒ゲームや他のことをして現実逃避⇒もっと課題がたまる⇒もっと現実逃避…」という悪循環を繰り返していると思います。どうにかしてたまっている課題を全部させたいです。

中学3年15歳男子

ハラダの答え

 なんて素敵な悩みだろう!友だちに対する愛情と、気持ちのいい向上心に満ちている。そして、何か得体の知れない焦りやイライラも、かすかに伝わってくる。迫りくる「受験」という重圧が伸し掛かり、「そろそろ大人にならないといけない」という気分を感じているのかな。自分のダメな部分を見つめて、よりカッコいい自分になるため、努力を始める連中がちらほらと現れてくる、中学3年生という時期。その努力の心地よさにきみはもう気付いていて、友人はまだ気付いていないのかもしれないな。

 随分昔の話だけれど、僕が中学2年生の時、その後の人生でたくさんの時間を共有することになる親友に出会った。当時は不良全盛の時代、やんちゃだったその親友を「ちょっと本気で勉強しようぜ」と誘ったことがある。「勉強はしといた方がいいで」と。

 今思えば、父親からの受け売りだった。中学生の僕に、その先の人生で勉強がどんな役に立つかなんて、分かるはずもない。

 美人な国語の先生に気に入られたいから、課題を出そう。次のテストで点数が良かった方が放課後のアイスをおごってもらえることにしよう-。「勉強はした方がいい」なんて、あまりに正しすぎてかっこ悪く思えてしまう考え方も、自分たちの「正直な下心」とセットにすると、それなりに楽しめるゲームになった。しかも、実際に成績が伸び始めると、ほめられる喜びや充実感という楽しさもプラスされる。その先にはテストの点数のためだけじゃない、学問そのものとの出会いが待っている。何もかも好循環。ならよかったんだけど、悔しい思いもした。次の学期、親友はあっさりと僕の成績を追い越していった…。まあ、思い出話はこのくらいにしておこう。

 きみは、頼ってくる彼に少しうんざりしているのかな。もしそうなら、そのことをしっかり伝えた方がいい。彼とどんな関係でいたいのか、どういう自分たちでいたいか。「お前が課題をやらないことで、俺たちの関係や、俺たち自身がかっこ悪くなっている」と、友人である彼に伝えることから始めよう。

 「やるべきだ」という言葉や「罪悪感」という感情は、なかなかエネルギーになりにくい。それよりも「かっこよさ」や「俺たちのために」という方が、ずっと前向きな力になる。やるべきことをやりたいことに変える、そのために知恵をしぼることが大切だ。

 「悪循環」に見える彼の毎日を動かしている歯車が、彼の心のどこかにあるはずだ。その歯車を見つけ出して反対方向に回すだけで、全てはきっとうまくいく。「一緒に探し出して、試しに逆さまに回してみよう」と誘ってみるのだ。「その方が絶対得だから、やってみよう」と。言い出す瞬間、きみは少しだけ、しんどい気持ちになるかもしれない。間違っていないことを口にするのはいつだって大変だ。

 ならば僕たちは、一体何のためにそんな「しんどいこと」をするのだろう。友だちを救うため?いいや、それは、自分たちのことを好きでいるためだ。「逆さまに回っている歯車、俺は反対向けに回したい」。その思いはきみのわがままで、彼への押し付けかもしれない。でも、そのわがままな押し付けこそ、きみたち2人をつなぐかけがえのない友情なのだと僕は思う。

「僕らのルール」 作詞作曲:原田博行

歌詞

photo by かつらかづみ

僕のダラダラが君のブレーキになること
気づかぬふりしてただ暇つぶし
嫌いな自分が退屈で
君の視線はうるさくて
少しの間待ってくれた
悲しそうに背中を向けた君
やっと追いかけるように僕も歩き出す
ありがとうは言わないよ

いつか追いついて笑うよ
それが僕らのルール




◇       ◇       ◇

 サウンドロゴ・クリエイター、シンガーソングライターにして現役高校教師の原田博行が、みんなの悩みにオリジナルソングで答えます。ギター1本の語り弾き、「アイ・ラブ・ミー」なハラダ先生による明るい相談室へようこそ!

【2018年2月14日掲載】