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京都府観光連盟 柏原康夫会長

幅広い誘客の追求を
変化に挑む


柏原康夫氏
かしはら・やすお 滋賀大経済学部卒。1963年京都銀行入行。取締役、頭取、会長を経て2015年から相談役。04年に京都府観光連盟会長に就任。京都商工会議所副会頭、関西経済連合会副会長。兵庫県出身。77歳。

 京都の観光が好調だ。インバウンド(訪日外国人)の増加がけん引している。ただ、急激な為替の円高で消費は鈍り、外国人宿泊客の増勢も陰り始めた。都市間の誘客競争が激しさを増す中、国際観光都市の先頭に立つ京都が進むべき針路は。

 京都は歴史が古いだけでなく、近代産業が併存し、新しい歴史も築かれている。この異質な魅力がレベルの高い観光を可能にし、国内旅行でも老後の移住先としても人気が高い都市になっている。

 海外客はどうか。欧米人は古都の風情や文化を味わう明確な目的で京都を訪れているが、東アジアの訪日客はその面がまだ弱い。訪日客の増加はこの先3~5年は続くだろう。アジアからの旅行客の需要も、単なる京都観光から将来は京都で何かしたいという風に変わるはずで、質的な転換が今後求められる。

 「爆買い」のような消費はいずれしぼむため、文化を生かした体験型観光が問われる。これは手間暇を要し、大量の旅行客はさばけないが、付加価値が高まって観光に厚みが出る。初訪問の客もリピーターも多い京都では、こうした幅の広い観光を追求しなければならない。

 大切なのは訪日客の不満の声を集め、是正することだ。要望の多い案内板の外国語表記や公衆無線LANの整備は進んでいるが、言葉の壁がいろんな場面で問題になっている。

 小規模事業者にとって外国語対応は困難だが、これを解決する多言語自動翻訳の実証実験が嵯峨・嵐山で始まった。関西文化学術研究都市(学研)発の技術で、これが日常的に使えるようになるとインバウンド対応は大きく変わるだろう。

 宿泊施設の不足に対応し、ホテルが増えているのは歓迎したい。民泊も議論になっているが、まず旅館の活用を考えるべきだ。外国人の旅館利用を増やすことは、体験型観光の面からも大きな意義がある。

 観光客の増加で、京都の住民が不快感を持つことは最も避けるべきだ。民泊は良好な住環境の維持が絶対の条件で、京都に合った高級な民泊施設や外国人研究者や留学生向けの民泊などを模索すべきだろう。=おわり

【2016年08月19日掲載】