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京都労働局長 井内雅明氏

長時間労働の是正を
井内雅明氏
いうち・まさあき 京都大法学部卒。1987年、旧労働省入省。厚生労働省認知症・虐待防止対策推進室長や安全衛生部計画課長、国際課長などを経て2015年10月から現職。徳島県出身。55歳。

電通の新入社員が過労自殺した問題や人手不足を受け、働き方を見直す機運が京都、滋賀をはじめ全国で高まっている。だが、改善は一朝一夕には進まない。長時間労働の慣習は根強く、女性や高齢者、障害者らが働きやすい職場づくりも道半ばだ。労働行政を管轄する京都労働局の井内雅明局長に、企業が取り組むべき課題を聞いた。

 -長時間労働の現状をどうみるか。
 「昨年末までの9カ月間に京都府内で1カ月80時間以上の残業が行われている事業所302件に監督したところ、63・4%で法令違反が見つかった。法定労働時間を守っていなかったり、現場の残業実態が上層部に伝わっていなかったりするケースが目立った。経営トップは法令順守意識を高めるべきだ」

 -なぜ今、働き方の改善が必要なのか。
 「最近の大学生は、就職先として残業が多い企業を避ける傾向がある。新入社員を確保するためにも長時間労働の是正は必要だ。また、男性社員が早く退社すれば、家事や育児に参加でき、女性の活躍にもつながる。人手不足が深刻化するため、非正規社員の正社員化などの待遇改善を進めないと人員補充もできなくなっている」

 -長時間労働是正の具体策は。
 「働き方改革に積極的な企業は、ロボットによる作業の効率化や会議数の削減、定期報告の簡素化などを進めている。サービス残業を行わないよう、パソコンで仕事をした時間と入退社時刻を照合する企業もある。残業が減ると給料の手取りも減るため、残業時間の削減で得た企業の利益を社員に還元する例もある。先進的な事例を広めていきたい」

 -女性が仕事と生活の両立できる環境をどうつくればよいか。
「女性の活躍を推進するには、結婚や出産後も働き続けられる環境が必要だ。退職後も再雇用する『カムバック・エントリー制度』やベビーシッター手当てなどを導入する企業もある。妊娠した女性に退職を促すような『マタニティハラスメント』も多く、育休や職場復帰に理解のある職場環境づくりが大事だ」

【2017年02月28日掲載】