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富国生命保険社長 米山好映氏

金融政策の出口探れ
米山好映氏
よねやま・よしてる 早稲田大政治経済学部卒。1974年、富国生命保険入社。総合企画室長などを経て2002年に取締役就任。常務などを歴任し、10年7月から現職。山梨県出身。67歳。

 日銀が昨年2月に初めて導入した「マイナス金利政策」が、銀行や生命保険各社を苦しめている。国債の運用や融資で得る収益が細り、稼ぐ力が低下。人口減少の加速も経営に重くのしかかる中、富国生命保険の米山好映社長に営業戦略を聞いた。

 -マイナス金利政策の影響は。
 「高齢化で個人年金のニーズは高まっているが、マイナス金利による国債利回りの低下で良い保険商品が作れなくなっている。デフレ下の過去20年も長期金利は1%を超えており、魅力的な商品を提供できた。日本経済は回復しているのだから、日銀は金融政策の出口を探るべきだ」

 -大規模な金融緩和も批判している。
 「日銀が2013年から始めた当初から主張しているが、異常な状況だ。大量の国債を買い上げた結果、日本の長期金利市場は無くなったに等しい。株も債券も市場に参加してこそ感覚が磨かれるため、今のままでは運用を担う人材が育たない。日本の個人金融資産が1800兆円を超す状況を考えると、大変な損失となる」

 -厳しい収益環境の中で営業戦略は。
 「職域営業を柱としているが、地域営業にも注力している。その基盤は、幼い子どもを持つ母親が参加する『フコク赤ちゃんクラブ』で、自身や家族の保険加入で契約数が順調に伸びている。個人保険の契約者配当も5年連続で増加し、利益還元も図っている」

 -女性営業職の離職を防ぐ取り組みは。
 「営業職は歩合給のため、契約が取れない人はどうしても辞めざるを得ない。生保業界のこの雇用慣行は長年の課題であり、最大のテーマだ。採用と育成のシステム化に向け、全社挙げて取り組む」

 -人工知能(AI)の活用に積極的だ。
 「日本IBMのAI『ワトソン』を保険金の支払い査定業務で使っている。従来は職員2人で担っていたが、うち1人をAIに置き換えた。精度は90%だが、人間もチェックするので十分使える。契約前の審査でのAI活用も検討中だ。事務を効率化し、お客さんと顔を合わせる営業に人を投入したい」

【2017年11月04日掲載】