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「時短社長」で改革実践

小川医理器社長 小川ゆきさん
小川医理器社長 小川ゆきさん
小川医理器社長 小川ゆきさん

 看護・医療用機器の輸入販売を手掛ける従業員32人の商社を率いる。ほかの経営者と少し違うのは、毎日午後4時に退社することだろう。2歳の長男を保育所まで迎えに行き、自宅で食事を作る。子育てのため執務時間を短縮し、企業経営と両立させる「時短社長」として、トップ自ら働き方改革を実践している。

 日々のスケジュールは濃密だ。会議や決裁、取引先の応対をはじめ、顧客の病院や福祉施設を回ることも欠かさない。商材や情報を収集するため、年数回は海外の展示会にも出向く。そんな多忙な毎日も「前向きな性格なので大変だとは感じません。今がすごく楽しい」と笑顔で話す。

 祖父の時代から66年続く会社を継いだきっかけは、父ががんになったことだった。闘病する父に「何か手伝おうか」と提案し、勤めていた会社から転職。京都府久御山町の本社と東京で営業職を7年経験し、父に付いて経営の基礎を学んだ。社長就任は33歳。父はその姿を見届けて逝った。

 「引き継いだ時の経営状況はどん底で、最初の3年間は悩みに悩みました」。主力商品だった医療用ワゴンなどの病院家具は値下げ競争が激化し、赤字に陥っていた。戦略転換のため、欧州で普及していた衛生器具の自動洗浄装置に着目。ドイツに渡ってメーカーと交渉し、日本での独占販売承認を得た。商品構成を絞り込む販売改革も断行し、利益率を改善させた。

 会社の存在意義も見つめ直し、「全ては患者様の笑顔のために」という理念を経営の根幹に据えた。「医療・看護スタッフを支えることが丁寧なケアにつながり、結果的に患者さんのためになる。この考えを柱にして取り扱う商品を選んでいます」と語る。

 信条を体現したのが、年2回発行する看護師向け情報誌だ。全国の総合病院を訪ねて自ら看護師へのインタビューを重ね、感染対策を紹介している。「目指すのは人の役に立つ企業。その視点で人材も育てたい」と力を込める。

おがわ・ゆき 立命館大経営管理研究科修了。京都市内の繊維メーカーに勤務した後、1996年に小川医理器入社。営業担当を経て2006年2月から現職。役員の夫と長男(2)の3人暮らし。休日は子どもと外出するのが息抜き。京都市中京区在住。44歳。

【2017年03月26日掲載】