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コワーキング・スペース

地域経済のエンジンに
中野龍馬さん(左)が1月に開設した「今プラス」。利用者たちが仕事場を共有しながら刺激し合う(湖南市岩根)
中野龍馬さん(左)が1月に開設した「今プラス」。利用者たちが仕事場を共有しながら刺激し合う(湖南市岩根)
山崎泉さん(右)が運営する「Root」では、子連れの利用者も歓迎している(守山市守山2丁目)
山崎泉さん(右)が運営する「Root」では、子連れの利用者も歓迎している(守山市守山2丁目)
 個人事業者らが仕事場を共用しながら、情報交換や事業連携につなげる「コワーキング・スペース」が、滋賀県でも増え始めている。シェアオフィスとは異なり、利用者同士の活発な交流が特徴。都心部に多く、県内ではまだ認知度が低いが、新たなビジネスや地域おこしの拠点になる可能性を秘めている。

 1月に湖南市岩根でオープンした「今プラス」。民家の離れを借りて改装した部屋で、ウェブデザイナーや、雑貨販売の経営者、心理カウンセラーらが集う。利用者の一人で、ウェブサイト運営の藤川人志樹さん(39)は「ここに来るのは仕事や人生に前向きな人ばかり。一人で仕事をするよりも、いろんな刺激を受ける」と語る。

 平日の午後1~6時に開かれ、1日の利用料500円(予約不要)で無線LANと電源が使える。テーブルを囲みながら、パソコンを打ったり、経費を計算したりと、それぞれが作業する。仕事の合間に談笑したり、事業者以外でも地元のお年寄りが訪れるなど、交流の場になっている。

 運営しているのは、ウェブデザイナーの中野龍馬さん(27)。「滋賀県ではコワーキングが知られておらず、活動の周知が難しい」と悩むものの、10カ月間で50人以上が利用。1日平均では2~3人、多い時で7人が使った。利用者の共同事業でスマートフォンのアプリを開発した実績もある。中野さんは「潜在的に利用したい人は多いはず。駅から離れた地方でも運営できることを示したい」と意気込む。

 コワーキングは、ネット環境の整備や個人事業者の増加を背景に、2005年ごろから米サンフランシスコを中心に始まった。「コワーキング協同組合」(神戸市)によると、国内に300カ所ほどあり、最近は都心部以外の開設も相次いでいるという。

 女性起業家が利用しやすいように工夫したオフィスもある。守山市守山で昨年7月にオープンした「Root(ルート)」は絵本やおもちゃをそろえ、子連れでの利用を歓迎。オーナーの山崎泉さん(30)は「何かやりたいけど、きっかけや場所がないという女性を支援したい」と語る。

 東近江市三津屋町でも10月に「Howl(ハウル)」というコワーキング・スペースが開設された。ほかに大津市や草津市、米原市などで設立の動きがある。

 コワーキング協同組合の伊藤富雄代表理事は「企業中心の時代から、働き方の概念が変わりつつある。地域経済のエンジンとして、コワーキングが公民館のように各地に広がってほしい」と語る。

【2014年11月16日掲載】