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JA今津町組合長 橋本達範さん

“脱”金融依存、営農強化を
出荷前の新米を前に、これからの農業について熱く語る橋本組合長(高島市今津町日置前)
出荷前の新米を前に、これからの農業について熱く語る橋本組合長(高島市今津町日置前)

 新米の季節となった。高島市今津町のJA今津町では、滋賀県トップを切って出荷した極早生(わせ)品種ハナエチゼンに続き、コシヒカリの収穫もほぼ終わりつつある。しかし、人口減少時代に入り、国内市場が急速に狭まるなか、地域農業は厳しさを増すばかりだ。そんな農業の可能性について、6月に就任したJA今津町の橋本達範組合長(59)に聞いた。

 -今津町は早場米の産地として知られるが。
 他産地との違いを出そうと、JA今津町と地元農家が1970年代から早場米に力を入れてきた。主力品種の一つとなったハナエチゼンは94年に栽培を始めた。今では関西随一の早場米産地に成長し、今津町内における早場米の栽培面積が98・2ヘクタールを占め、440トン余の出荷を見込む。農産物の付加価値を高める取り組みでは先駆例だと言える。

 -早場米に続き、可能性がある農産物は何か。
 高島市は「びわ湖源流の郷(さと)」とされ、澄み切った水でも有名だ。そんな豊かな自然環境が米や野菜のイメージアップにつながっている。米以外に、タマネギやキャベツ、カボチャ、柿、大麦も他産地に負けない品質だと自負している。

 中でもタマネギは興味深い。今津町の生産量は年間160トン前後に過ぎないが、主な出荷先に北海道がある。まさか生産が全国一の北海道にタマネギを売ろうとは考えもしない。しかし、ここが物流の面白い所だ。全国有数の産地とされる兵庫県産は春以降、北海道産は秋が収穫期。これに対して、今津町はその端境期の6月ごろが収穫期になる。農産物の付加価値を高める上でのヒントがある。

 -国の農政改革に対してどう向き合うのか。
 何よりも順応する姿勢が求められる。潜在的な力と知恵をいかに結集するかが生き残りの鍵となる。ただし、JA今津町だけではなく、多くのJAが厳しい局面に立たされている。

 JAは貯金や貸付などの信用事業(JAバンク)を一つの柱としてきたが、マイナス金利が導入されてから収益が減っている。JA今津町も例外ではない。

 結果として、この信用事業が営農を支えてきた面がある。こうした依存体質から抜け出し、営農自体の強化を図る必要がある。

 -JAの合併は地域農業の可能性を広げるのか。
 スケールメリットは否定しないが、個々の農家が生産規模を拡大し、コストを下げる、そして、いかに農産物の付加価値を高めるかがまず取り組むべき課題だと思う。最初から「合併ありき」で議論を進めてはならない。高島市内には、今津町、西びわこ、マキノ町、新旭町の四つのJAがある。1月に「高島地区農業協同組合合併研究会」が発足し、議論が始まったばかりだ。

 農業は組合員である農家だけではなく、自然環境や地域社会に欠かせない産業でもある。今津町、さらに高島市と滋賀県、日本の将来を見据えて真剣に議論すれば何をなすべきか、おのずと答えが出ると思う。

【2017年09月17日掲載】