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文化財に「指定予備群」 、地域の宝守れ

文化庁と連携、観光活用へ

京都府が修復費助成、保存へ

京都府指定文化財予備群

 京都府は、個人宅や地域で守り継がれながら文化財に指定されていない美術工芸品や古文書などのうち、価値の高いものを新たに府指定文化財の「予備群」と位置付け、所有者に修復費を助成する制度をつくる方針を固めた。眠れる文化財を積極的に掘り起こし、修復・保存につなげる全国初の試み。京都移転が決まった文化庁とも連携して、文化財を生かした観光振興や地域の魅力再発見に役立てる。

 府の指定文化財は社寺の建物や歴史上の著名人に関する古文書など計436件ある。都が置かれ、古くから人々の行き来や物流、信仰が盛んだったことから、府域には他にも、個人や、地域の社寺などが所有する未指定の文化財が数多くあるとみられる。だが個人所有の美術工芸品や文化資料は修復費助成の対象外とされてきた。

 新たな文化財指定はハードルが高く、綿密な調査や府文化財保護審議会での議論に時間もかかる。未指定文化財には保存状態が良くないものもあり、転売や散逸によって伝承が途絶える恐れもある。

 そこで府は、個人宅に伝わる掛け軸や、地域の祭りで使われる鉾(ほこ)、集落の集会所に安置されている仏像などについて、広く住民の申請を受け付け、審査を経て「指定予備群」と位置付ける。所有者に修復費や防災・防犯設備の整備費を一部助成する。適切な保管場所がない場合は、資料館など府施設の活用も検討する。修復は若手技術者にも担ってもらうことで、人材育成を図る。

 その上で、身近な文化財を各地域で公開・展示できる仕組みを整える。文化財を訪ね歩く周遊ツアーの開催などを通じて、住民に地域の魅力や誇りをあらためて認識してもらい、各地域の観光振興に生かす。

 府は、このような未指定文化財の調査・修復に対して独自助成を検討する一方、文化庁に財政支援制度の創設を要望している。さらに府は、「けいはんなオープンイノベーションセンター」(旧私のしごと館、精華町・木津川市)を拠点に、世界トップ級の修復システムを整備して、災害で傷んだり、海外に流出したりしたものも含め全国の文化財保存を手掛けることも視野に入れる。

 身近な文化財を継承する府民の機運を高めながら、京都に移転する文化庁とも連携して広く全国の文化財保護も担う構想で、府幹部は「各地域に眠る宝の山を掘り起こし、文化庁移転を機に文化財保護の裾野を広げたい」としている。

【2017年01月06日掲載】