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保存と変化、両立を

京の新景観政策施行10年 左京で総括シンポ

 京都市の新景観政策の施行10年を総括するシンポジウムがこのほど、左京区の府立京都学・歴彩館で開かれた。学識者や経済人らが登壇し、歴史的な資産を保存・継承しつつ、新しい景観や美を作り出すバランスが大切と問題提起した。

関係者ら 「生活見えるまちに」

新景観政策の施行10年を振り返るシンポジウムで、成果と今後の課題を議論するパネリスト(京都市左京区、府立京都学・歴彩館)
新景観政策の施行10年を振り返るシンポジウムで、成果と今後の課題を議論するパネリスト(京都市左京区、府立京都学・歴彩館)

 2007年施行の新景観政策は、市街地のほぼ全域で建物の高さやデザイン、屋外広告物などの規制を強化した。全国で例のない施策で、市は今年9月以降に記念シンポや連続講座を行うなど議論を深めてきた。

 総括シンポは「京都から考える これからの歴史・文化・創造都市」がテーマで、市民ら約300人が聴いた。文化庁地域文化創生本部(東山区)の主任研究官、佐々木雅幸氏は「今後はAI(人工知能)が発達するが、人がAIに負けない創造的な仕事をする際に必要な感性を育てるには、都市の文化景観が一つの要素になる」と説明した。

 その上で、外観も斬新な金沢21世紀美術館が人気の金沢市の例を挙げ、「歴史的資産の継承に加え、新しい美の基準も作るなど、幅広さが大切だ」と語った。

 一方、京都経済同友会代表幹事の鈴木順也氏は「都市では、豊かな営みや商売が生まれてこそ景観が形成される。京都市では、空き家の点在が景観上も深刻ではないか」と対策の必要性を指摘した。

 景観と生活文化の関係について、聖護院八ッ橋総本店(左京区)の鈴鹿可奈子専務は「単純に昔の町家を建てても生活が見えなければテーマパークになる」と訴え、京都学・歴彩館長の金田章裕氏も「文化的景観には生活と生業の物語が欠かせない」と語った。

 市は一連の記念事業を踏まえ、来年2~3月をめどに、新景観政策の成果や今後の課題をまとめたリポートを発行する予定。
(相見昌範)

【2017年12月12日掲載】