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観光客もてなしへ人材育成

京銀金融大学校、休日に3ヵ国語学ぶ
中国人留学生から中国語を学ぶ京都銀行の行員たち(京都市下京区・京銀本店)
中国人留学生から中国語を学ぶ京都銀行の行員たち(京都市下京区・京銀本店)
 京都の観光業界が人材育成に力を入れ始めている。観光の質を高めるためには、地域をまとめるリーダーや語学の使い手など多彩な人材が必要で、語学研修や同業者間の情報交換、産学連携などさまざまな分野で育成方法を模索している。

 一般窓口が休みの日曜日、京都市下京区の京都銀行本店で、私服姿の行員が外国語を熱心に学ぶ。行員が専門知識を身に付ける「京都銀行金融大学校」の風景だ。中国語や韓国語、英語を留学生から教わっている。

 地域経済を支える観光産業の支援に力を入れる京銀は、2年前に研修組織として同校を設立した。「K-POPが好きなので親しみやすい。観光客の話を聞けるレベルになりたい」と、韓国語を学ぶ山口真紀代さん(25)。原田泰光学校長(52)は「アジアからの観光客が増えている。困っている外国人観光客に店舗で対応することで、京都観光に貢献できる」と説明する。

 観光産業において、外国語の重要性はますます高まっている。京都市には国内外から年間5千万人の観光客が訪れる。行き先は年々多様化しており、受け身でいては対応できない。ひと味違った誘客アイデアを打ち出し、もてなしに生かすことのできる人材も求められている。

「未来塾」修了生、ネットワークを結成

京都府観光連盟の「京都観光創造未来塾」で宇治茶について学ぶ受講者たち(宇治市・市観光センター)
京都府観光連盟の「京都観光創造未来塾」で宇治茶について学ぶ受講者たち(宇治市・市観光センター)
 京都府観光連盟は、地域の観光リーダーを育てる「京都観光創造未来塾」を5年前から府内各地で毎年開いている。昨年度は南部地域で宇治茶を使った観光客誘致をテーマに実施した。受講生は今年3月の修了式で、着物姿で茶の入れ方を学ぶ女子会、茶摘み体験婚活イベントなど多彩なアイデアを披露した。

 宿泊施設や土産物店、通訳ガイドなどの観光関係者が受講し、修了生たちが自主組織「京都観光未来創造ネットワーク」を発足させた。修了後、さらに京都のもてなし力を高めようと、約80人が参加し、語学研修や文化体験、外国人観光客誘客セミナーなど月1回勉強会を催している。

 同塾1期生の京都東山荘支配人森川哲巳さん(46)は「業者間のつながりができ、京都市内と丹波地域との連携の可能性も出てきた。今後は観光関係者の生の声を集めるサイトを立ち上げ、京都の観光力をさらに高めたい」と前向きだ。

平安女学院大国際観光学部、現場と交流盛ん

旅館の経営者と宿泊施設のイメージについて意見交換する平安女学院大国際観光学部の学生たち(上京区)
旅館の経営者と宿泊施設のイメージについて意見交換する平安女学院大国際観光学部の学生たち(上京区)
 2007年に京都初の国際観光学部を開設した平安女学院大(上京区)には、ホテルやウエディング業を学ぶコースと旅行業を目指すコースがある。近隣の宿泊施設での体験学習や京都検定も授業に取り入れた、京都ならではの学部だ。

 現場との交流も盛んで、昨年末に、学生と近畿の旅館経営者が懇談の場を持った。旅館に古いイメージがあるという学生は「しゃべりすぎる仲居さんは苦手」「冷蔵庫に飲みたい飲料がない」と率直な意見を述べた。東山区の旅館ギオン福住の中村公紀さん(56)は「若い女性は季節感などに敏感。これからの観光業を担う中心になるのは女性だと思う。若い学生の活躍に期待したい」と話す。

 ツアーの企画や商品作りなど、学生のアイデアによる観光ベンチャーの起業も目指す同大学の山岡景一郎学長(81)は「観光は人間を通した産業で、働く人材は語学だけでなくもてなしの心も大切だ。ホスピタリティーのある人材を育てることができれば、その地域の観光は栄えていく」と指摘している。


 「深掘り」は今回で終わります。

【2012年06月06日掲載】