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カジやんの撮り鉄日記
京都新聞の撮り鉄カメラマン"カジやん"が、1978(昭和53)年から現在に至るまで、京都を中心に日本全国で撮影した鉄道写真を紹介します。

(44)オハ46形客車

軽量化実現、輸送力高める
昭和30年代に撮影されたオハ46形客車
昭和30年代に撮影されたオハ46形客車

 戦後、戦争の影響で荒廃していた日本の復興が進むにつれて、国内の鉄道輸送需要は増加の一途をたどった。旅客・貨物の取り扱いは戦前の水準にまで戻っていき、高度経済成長期に向かってさらに増大していった。

 このため、国鉄では列車の輸送力増強と速達化が懸案となり、昭和20年代前半から新型車両の研究開発を推進していった。従来よりも高出力の機関車や電車などによって速達化を図るとともに、列車の連結両数を増やすことで長大編成を実現するためである。

 一方、機関車がけん引する客車については、内装や台車の改良によって乗り心地の向上が図られていた。しかし、車体の構造自体は戦前の形態が踏襲されており、長大編成に適した軽量客車の研究は進展していなかった。

オハ46形の車内
オハ46形の車内

 そこで、より多くの連結を可能にするため、客車の部材軽量化が検討され、その実現に向けた研究開発が1955(昭和30)年前後から活発化した。こうした流れのなかで設計された客車形式の一つが、オハ46形客車である。

 オハ46形は、当時の急行用客車スハ43形を軽量化した客車で、55年に汽車製造、川崎車輛(しゃりょう)、日立製作所の3社で計60両が製造された。スハ43形よりも使用する合板の厚みを減らし、連結器などの材質を変更するとともに、鋼材屋根を採用することで約2・5トン軽量化されている。

 それまでのスハ43形などで使用されていた布張屋根は、アスファルトを塗り、その上に砂をまいて耐久性を持たせたキャンバス(帆布)を、燃やした石炭から得られる油状液体のコールタールで木製部材に貼り付けた屋根だった。

座席の窓側には栓抜きと灰皿が設置されている
座席の窓側には栓抜きと灰皿が設置されている

 一方、オハ46形は鋼板を用いた屋根とすることで、車両の屋根部分両端に取り付けられるキャンバス押さえの部材を省いている。

 なお、オハの「オ」は車両の重量が32・5トン以上、37・5トン未満であることを示す重量記号で、「ハ」は普通座席車を示す用途記号である。

 当館で保存・展示しているオハ46形13号車は、汽車製造東京支店で製造された車両で、定員は88人。東京-九州間の長距離急行などで運用後、昭和40年代以降は山陰本線の普通列車などで運用されていた。

 2011(平成23)年に梅小路運転区に配置された後、修繕や塗装などの復元工事を経て当館の保存・展示車両となり、現在は主に本館1階の車両工場で展示している。(京都鉄道博物館学芸員 廣江正幸)

【2017年03月21日掲載】