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岸本吉博氏 全国の平安・安寧願う祇園祭

きしもと・よしひろ 1948年生まれ。放下鉾保存会監事、祇園祭山鉾連合会の監事、理事、副理事長を経て2015年11月から現職。本年度から、ネットを使った祭りの資金調達事業を導入。 きしもと・よしひろ 1948年生まれ。放下鉾保存会監事、祇園祭山鉾連合会の監事、理事、副理事長を経て2015年11月から現職。本年度から、ネットを使った祭りの資金調達事業を導入。


 昨年暮れ、全国33件の祭りで構成する「山・鉾・屋台行事」がユネスコ無形文化遺産に登録され、「京都祇園祭山鉾行事」(2009年に登録)も改めて登録となりました。それ以外にも日本全国にはたくさんの祭りが存在し、人々の暮らしと密接な関係にあります。
 そこで、祭りとコミュニティーについて考えてみたいと思います。祭りには、農・漁村型と都市型の祭があり、前者は豊作・豊漁祈願や子孫繁栄、安全祈願が中心です。後者は世の平安・災厄防除を祈願することが多く、いずれも地域一体となって神様とともに祭りを催行する事に意義があるといえます。
 里には山から、海辺の地域には海の彼方(かなた)から、都市では天から神様が降臨されるといわれる祭り。これを旅というカタチをとって、氏子区域にお出ましになり、一定期間お泊まりになって、戻って行かれます。その間、人々と一緒に飲んだり食べたり音曲や演舞を楽しむという儀式を通して、地域社会をより一層強く結びつけていることが考えられます。
 山や鉾、屋台、山車ごとに、保存会的なコミュニティーが形成され、それらが自分たちの信仰の象徴となり、互いが競い合うことによって、より一層強い結束・団結心の形成につながり、さらに立派に豪華なものになっていく原動力となります。
 ご存じのように、祭りは大人だけのものではありません。未来を担う子供たちが参加する慣習があり、お年寄りの方から若者、子供に至るまでが一体となって祭に参加し、コミュニティーへの帰属意識や自分たちの町に対する愛着を醸成していくことになります。そこから祭りの文化が現代から次世代へ、継承していく仕組みができていきます。
 祭りという組織のなかで、個々の人間が何を形成すべきかを考え、行動する習慣を知らず知らずのうちに身に付け、組織として統制のある動きが取れるようになります。
 祇園祭において言えば、応仁の乱や江戸期の宝永・天明・元治の大火や第2次世界大戦など、幾多の戦乱・大火等にも負けず、祭りを中心として街並みや山鉾がみごとに復興を遂げる大きな要因のひとつとなりました。いわば祇園祭の歴史は“力強い復興の歴史”。日本全国の平安と安寧を願った祭りなのです
 祭りは人を元気にし、気分を高揚させ、結束力を高めます。祭りを通じたコミュニティー形成は日本の復興に役立ちます。ことしも被災地復興への願いを込めて執り行います。
(祇園祭山鉾連合会理事長)

[京都新聞 2017年07月14日掲載]