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「爆買い」減速 訪日客は増、化粧品強化

報道部 葦原裕
外国語で対応する化粧品売り場。訪日客の需要は高額品から日用品にシフトしている (京都市下京区・大丸京都店)
外国語で対応する化粧品売り場。訪日客の需要は高額品から日用品にシフトしている (京都市下京区・大丸京都店)

 訪日中国人客の消費動向が変わり、「爆買い」ともいわれた一時の旺盛な買い物需要が沈静化しつつある。宝石や時計といった高額品の売り上げが落ち込み、百貨店など小売業の業績を押し下げる一因になった。各店は外国人客の人気が根強いファッションや化粧品に軸足を移し、国内客も含めて取り込みを図る売り場づくりに注力している。

 「中国人客の買い物の仕方が変わり、単価が下がった」。京都市の百貨店幹部は口をそろえる。市内4百貨店の総売上高は4月から6カ月連続で前年同月を割り込んだ。特に落ち込みが大きい品目が美術・宝石・貴金属。2桁減の月も目につく。昨年まで訪日中国人客であふれていた高級時計やブランド品の売り場で反動が表面化した。

 流通大手セブン&アイ・ホールディングスが10月6日、エイチ・ツー・オー(H2O)リテイリングに関西の系列百貨店を売却すると発表したのも、爆買いの減速が原因の一つとされる。「(大阪や神戸に比べて)空港から遠い京都はもともと爆買いが多くなかった」という関係者の声もあるが、京都市内の各店とも免税品の総額が2〜3割落ち込んでおり、高額品の販売減の影響は否めない。

 訪日中国人客の消費欲が冷え込んだ背景には、円高の進行に加え、自国経済の減速があると見られる。中国政府が今春、海外で購入した商品に課す関税を引き上げ、国内での購買を促したのも不振に拍車をかけた。

 ただ、市場は不安一色でもない。訪日客全体は増え続けているからだ。京都文化交流コンベンションビューローによると、今年9月に市内主要ホテルに宿泊した外国人客は前年同月比で19%増だった。百貨店でも免税手続きの件数は増えており、買い物需要をつかむ余地はまだある。

 そこで各百貨店は、外国人客の人気が根強い化粧品の強化に動き始めた。大丸京都店(下京区)は10月初め、ドラッグストアや通信販売の人気ブランドをそろえる新業態の化粧品売り場を開業した。既存売り場と商品をすみ分けし、国内客も外国人客も気軽に購入できる環境を整えた。藤井大丸(同区)も自然の素材が人気の化粧品店を拡充し、売り上げを伸ばしている。

 「外国人客はリピーターが多く、何度も訪れるうちに日本の流行に興味を持つようになってきた」と話すのはジェイアール京都伊勢丹(同区)の販売担当者だ。中国語対応のスマホ向け商品サイトを立ち上げ、日本で人気が高い洋菓子やアクセサリーなどを厳選して紹介している。

 雑貨やファッションの小売店からも「外国人客は和柄が好みと思われがちだが、実際は日本人と同じく日常で使いやすい柄が売れ筋」と耳にする。既存の人気商品の魅力を従来以上に発信することが、訪日客需要を再浮上させる鍵になるのかもしれない。

[京都新聞 2016年11月2日掲載]

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