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滋賀県内自治体の災害備蓄状況 「想定外」に家庭で備えを

滋賀本社 高橋道長
倉庫に運ばれる滋賀県の備蓄食料。自治体の備蓄は少なく、家庭での備えが重要となる(大津市中庄2丁目)
倉庫に運ばれる滋賀県の備蓄食料。自治体の備蓄は少なく、家庭での備えが重要となる(大津市中庄2丁目)

 滋賀県内の自治体で、大地震などに備えた非常食の備蓄状況をアンケートしたところ、想定される避難者数の1日分さえ確保できていない市町が半数に上っていた。「災害時は避難所へ行けば、食料と水がもらえる」というイメージは現実とはかけ離れており、行政の備蓄があてにはならないことを、もう一度確認しておきたい。

 調査は滋賀県と県内の全19市町を対象に行った。すべての自治体がお湯や水を入れるだけで食べられるコメや、長期保存できるパンを中心に備蓄。毛布も全市町が一定数を確保していた。

 問題は量だ。県が試算した発生3日後の最大避難者想定数を基に、各市町の備蓄食料を比べると、避難者想定1人当たりで1日分(3食)を保有しているのは9市町にとどまった。最少は草津市や日野町、竜王町の1・4食分。1日3リットルが必要とされる飲料水もペットボトルでの備蓄は少なく、3市町はゼロ、大津市など6市町は1人当たり1リットル以下だった。

 滋賀県も7カ所に最大避難者想定(県内で約10万人)の計2・6食分を備蓄しているが、少ないことに変わりない。多くの市町は、地元のコンビニやスーパーなどと水や食料の提供を受ける協定を結び、不足分をカバーする考えだが、ある市の担当者は「協定が予定通りに機能するとは言い切れない」と漏らす。

 アンケートでは、食料や水の備蓄を64カ所に分散配備する市がある一方、5市町が防災センターなど1カ所で保管していることも分かった。熊本地震では道路の損壊や物流の混乱で支援物資が運べず、1週間近く食料不足に見舞われた避難所もあった。災害時にスムーズな物資の輸送ができないのは「想定内の事態」だと捉えるべきではないだろうか。

 県内市町では、12市町はおむつ、9市町はほ乳瓶、6市町は粉ミルクを備蓄に加えていた。乳幼児がいる家庭への配慮は心強いが、川崎市で子どもの防災活動に取り組むNPO法人「ママプラグ」の冨川万美代表は「おむつはサイズが合わずに使えないこともある」と注意を呼び掛ける。

 粉ミルクも種類が違えば飲んでくれないこともあり、乾パンを食べられない子もいる。冨川代表は「家庭によって必要な物は違ってくる」とし、「災害をイメージするのは気が重いが、旅行で4、5時間の渋滞に遭う時に必要な物を考えれば、その延長が避難生活になる」と提案。夜泣きなどで避難所に居づらいこともあり、車中泊を想定した準備も欠かせないという。

 行政の備蓄物資は、全壊や全焼で家庭の備蓄が使えなくなった住民のためにある。予算もかかり、賞味期限切れで更新する必要のある食料を行政が大量に保有し続けるのは難しい。保存できる食品は家庭で多めに買いためるなど想定内の対策をした上で、それでも起こる「想定外」に備えるべきではないか。

[京都新聞 2016年11月30日掲載]

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