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宮津市立図書館来年移転 立地生かし活性化拠点に

宮津支局 関野有里香
老朽化が進み、蔵書が入りきらない宮津市立図書館(宮津市鶴賀)
老朽化が進み、蔵書が入りきらない宮津市立図書館(宮津市鶴賀)

 「これはひどい」というのが、宮津市立図書館(同市鶴賀)を利用した第一印象だった。古く薄暗い建物の中は、人がすれ違う幅も無いほど本棚が立ち並び、あふれた本が棚のてっぺんに積まれている。日本三景・天橋立があり、与謝蕪村や与謝野晶子、菊池寛、野口雨情など、多くの文人が訪れた街の文化教養施設とはとても思えなかった。

 老朽化と狭あい化が問題となっていた同図書館が来年、同市浜町の大型商業施設「ミップル」に移転する。合わせて子育て支援施設も整備し、工事費は概算で7億円。実施設計費3千万円の予算案が市議会9月定例会で可決された。

 同図書館は府内で3番目に古い1922(大正11)年にできた。現在の建物は築45年で、延べ床面積は532平方メートルしかなく、人口2万人規模の自治体に望ましい基準値の3分の1未満。市は13年前、同市京街道の高校跡地に図書館を含む複合施設建設を検討したが、財政難で断念した。

 高度経済成長期にできた公共施設が更新時期を迎える中、市は昨年、「宮津市の図書館を考える会」を設置し、図書館のあり方を再検討。ミップルのビルを所有する阪急電鉄と、賃貸する核店舗「さとう」の契約が来年7月で終わることから、この場所での図書館整備に乗り出した。

 ミップルは347台分の駐車場があるほか、海に面し、公園や475台分の市営駐車場も近い。元野洲市立図書館長で考える会のアドバイザーを務めた千歳則雄さん(63)は「立地は非常に良い」と評価する。浜町地区は、市街地のにぎわい創出の拠点として、道の駅が整備された場所でもある。

 建設費や管理費を削減でき、買い物との相乗効果による集客も見込まれるので、図書館と商業施設の複合化は全国的に相次いでいる。京都府では京都市伏見区の「パセオ・ダイゴロー」西館の醍醐中央図書館、図書館先進県とされる滋賀県でも「フェリエ南草津」内の南草津図書館(草津市)や「ウイングプラザ」内の栗東西図書館(栗東市)が挙げられる。

 宮津市の新図書館のフロアは約3500平方メートルの広さがあり、本の荷重をかけないよう、低い本棚を間隔を開けて配置し、館全体を見渡せるようにする。蔵書は約17万冊(昨年度11万3千冊)を予定。児童の読み聞かせスペースや、市民の交流スペースも計画している。

 岡本知子館長(59)は「また行ってみたいと思える図書館にしたい」と、レイアウトの構想を語る。郷土資料の充実、中高生向け図書の導入、市が新産業として力を入れるオリーブ栽培などの関連本を並べたビジネス支援コーナーの設置…。インターネットで本を読んだり買ったりできる時代の中、来館してもらうには、地域の需要に合わせたサービスの工夫が必要だ。

 限られた財源の中、どこまで実現できるか。住民への説明を欠かさず、図書館が地域活性化の中心施設に生まれ変わるよう、綿密なプラン作りを進めてほしい。

[京都新聞 2016年12月7日掲載]

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