The Kyoto Shimbun
取材ノートロゴ

野洲市立病院計画 市と議会、建設的議論を

湖南総局 能美孝啓
JR野洲駅南口の市立病院整備計画に関する設置条例案を可決する野洲市議会(昨年12月22日、野洲市役所)
JR野洲駅南口の市立病院整備計画に関する設置条例案を可決する野洲市議会(昨年12月22日、野洲市役所)

 昨年10月の野洲市長選、12月の市議会定例会を取材して、市がJR野洲駅南口に整備予定の市立病院計画をめぐり、市と議会が依然としてかみ合っていないと感じた。計画は絶対に正しいと言わんばかりの市側の態度の一方で、反対派市議にも足を引っ張るかのような対応が見られ、市民を不安にさせている。建設的な議論をしてほしい。

 市長選は病院計画の是非が争点となり、計画を推進する現職の山仲善彰市長が3選を果たした。反対した候補にも多くの票が集まり、同時に行われた補選で当選した市議も反対の立場だった。

 定数20(欠員1)の市議会では最大会派を中心に反対意見が根強く、市長選後初の定例会では総務常任委員会で病院の設置条例案が否決された。本会議では僅差で可決されたものの、詰め掛けた市民で傍聴席があふれかえり、関心の高さを示した。

 市立病院計画は民間の野洲病院(同市小篠原)の経営難を受け、市が2011年から検討。総事業費約86億円で、20年10月の開業を目指すが、これまで議会では基本設計の予算案が2度否決され、3度目の提案で可決されるなど反対派との対立が続いた。

 市長選の結果を受けても、状況は変わっていない。山仲市長は「条例案は議会に委ねた」としていたが、本会議採決の2日前に坂口哲哉議長に異例の要請書を提出した。「正当な議論を慎重に経られた後に、適正な採決をいただきますよう」と記され、まるで議会が不適正だと言っているかのような「適正な」の文言に違和感があった。

 一方、最大会派に所属する坂口議長は、「代案は」との山仲市長からの問いに「代案がなければ反対してはいけないのか」と返した。それで議論になるのだろうかと疑問に思った。

 同志社大の真山達志教授(行政学)は「首長と議会はチェックアンドバランスを保つ関係性なので、意見が相反するのは正常だが、それはお互い十分に議論をして機能するもので、代案なく主張しているのならただ足を引っ張り合っているだけ」と指摘。「首長も要請書ではなく、話し合いの場を設ける努力をするべきだ」と話した。

 変化の兆しもある。以前予算案が否決された際は本会議で反対討論も行われず、市民に議論が見えなかったが、今回の定例会では反対派の4人が討論に立った。山仲市長も「産婦人科を検討してほしい」という市議の意見に柔軟な姿勢を見せている。

 今後、2月定例会では実施設計の予算案などが提出されるとみられ、秋には任期満了に伴う市議選(定数2減)が行われる見通しだ。市のまちづくりの大きなテーマとなった病院計画は、首長と議会による自治が「適正」に機能するかどうかも問いかけているのではないだろうか。

[京都新聞 2017年1月11日掲載]

▼前の記事取材ノートからTOP次の記事▲

各ページの記事・写真は転用を禁じます
著作権は京都新聞社に帰属します
ネットワーク上の著作権について―新聞・通信社が発信する情報をご利用の皆様に(日本新聞協会)
電子メディアおよび関連事業における個人情報の取り扱いについて
京都新聞
京都新聞TOP