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性暴力被害者のグループ つらさに耳を傾けたい

報道部 太田敦子
電話や来所相談など多岐にわたる支援を行う京都SARAの事務所(京都市中京区)
電話や来所相談など多岐にわたる支援を行う京都SARAの事務所(京都市中京区)

 性暴力被害者の支援を手掛ける「京都性暴力被害者ワンストップ相談支援センター 京都SARA(サラ)」(京都市中京区)で昨年秋、性暴力被害を経験した人たちが集う「サポートグループ」が行われた。内閣府のモデル事業としての短期的な試みだったが、同じつらさを抱える人たちが語り合う場で、被害者は日ごろ他人には言えない怒りや悲しみを口にした。

 効果が大きいと判断され、4月から本格的にスタートする予定だが、心ない言葉に傷つく「二次被害」に悩む現状もあり、まだまだ克服すべき課題は多い。

 京都SARAは、京都府が民間団体「ウィメンズカウンセリング京都」に運営を委託する形で、一昨年8月に開設された。電話や来所による相談のほか、弁護士・警察署などへの同行など多様な活動を行う。必要な場合、10回まで公費でカウンセリングを受けられる制度も設けている。

 被害者にとって信頼できるカウンセラーとの出会いが持つ意味は大きい。取材で会った女性は、事件から1年が過ぎたころ、事件現場に近づく練習をカウンセラーと一緒に続けた。最初は2人で、次は途中から1人で。10回以上足を運び、ようやく1人で近づけるようになったという。

 性暴力被害に遭った人の多くは、長い年月にわたって苦しみ続ける。心身の傷が癒えるまでの長い時間は、カウンセリングの回数だけではかれるものではない。

 10回のカウンセリングを終えてもサポートが大切で、サポートグループの意味はまさにここにある。安心して悩みを打ち明けられる場こそが必要と言える。

 昨年秋に6回行われたグループには進行役を含めて6人が参加。ウィメンズカウンセリング京都の井上摩耶子代表は「同じつらさを知るからこそ、理解し合えることがたくさんあった」と振り返る。

 「悲しみを共有できて救われた」「気持ちを否定されないことがありがたかった」「安心して怒ることができた」。参加した女性たちの声だ。一方で「もう忘れたら」「許してやれや」など周囲の人の言葉に傷ついてきた人も少なくなかった。

 夜遅く1人で歩いていたから。酔っていたから。不注意だったから−。そんな言葉が被害者に対して向けられることも時にあるかもしれない。だが、何一つとして性暴力に遭う理由にはならない。

 被害に遭った人たちが安心して語り、少しでも前向きな気持ちになれる場づくり、また、サポート態勢の充実が求められるのは当然としても、性暴力被害に対する理解が進んでいないことが問題だと思う。「私たちは孤独と記憶に引き裂かれないよう、記憶を押し殺して生きているんです」。自ら被害を公表し、支援を続ける女性の言葉を改めてかみしめている。

[京都新聞 2017年3月22日掲載]

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