The Kyoto Shimbun
取材ノートロゴ

アリーナスポーツ改革 変わるか、観客の流れ

運動部 山下悟 
京都ハンナリーズの今季最終戦に詰めかけた大勢のファン(7日、ハンナリーズアリーナ)
京都ハンナリーズの今季最終戦に詰めかけた大勢のファン(7日、ハンナリーズアリーナ)

 日本のアリーナスポーツは、転換期を迎えているのかもしれない。バスケットボールBリーグの発足、バレーボールや卓球の新リーグ構想が、そう感じさせる。スポーツ観戦といえば、野球とサッカー、相撲が中心だった日本で、観客の流れは変わるか。

 作秋、実業団リーグの流れを組むNBLと、プロのbjリーグが統合されBリーグが始まった。注目度が高まり、観客数は1部(B1)の1試合平均で3割増えた。さらに、バレーボールが「スーパーリーグ」、卓球が「Tリーグ」の構想を相次いで発表。ともにプロを含めた新リーグで、来秋の開幕を目指す。2020年東京五輪を前に、改革の機運が高まっている。

 アリーナスポーツは、屋内ゆえの利点がある。天候に左右されず快適性が高い。スタジアムに比べ観客席が選手に近く臨場感がある。運営面でも、サッカーなどに比べると予算規模が小さくて済むため、新規参入しやすい。

 だが、観客数はまだ物足りない。Bリーグは1部、2部を合わせて220万人ほど。一方で、プロ野球は2500万人、Jリーグは1000万人規模に上り、スポーツファンは少なくない。これら他競技のファンを、アリーナスポーツに呼び込めないか。野球やサッカーは春から秋に行うが、BリーグやバレーボールのVリーグは秋から春までがシーズンだ。開催時期のずれを生かしたい。

 「見るスポーツ」として発展していくには、施設整備が課題となる。すでにBリーグを優先するため、Vリーグの会場が変更される事例もあった。Bリーグの大河正明チェアマンは、「バスケットのため体育館が取りにくくなったとも言われるが、ほかのスポーツも並列して楽しめるように、もっとアリーナをつくらないと」と訴える。

 日本の成長戦略を議論する未来投資会議で3月、安倍首相は25年までにスタジアムやアリーナを全国20カ所に整備する方針を打ち出した。スポーツ観戦や多彩なイベントで多世代が集う拠点として、地域活性化の起爆剤にする狙いがある。大津市では大津商工会議所がけん引して、アリーナ建設計画が持ち上がっている。巨額の建設費がかかるだけに、行政と民間の協力、市民の理解が欠かせない。

 日本バスケットボール選手会前会長の岡田優介選手(京都ハンナリーズ)は、他競技の構想を「スポーツという大枠では仲間だ。さまざまなスポーツを見る文化をつくるため、共存できるはず」と歓迎する。競技の壁を越え、情報発信などで連携を強めたい。

 観客が増えることで、スポンサーをひきつけ、収入が安定し、競技力が上がり、さらに観客が増える。そんな好循環が生まれれば理想的だ。ファンやクラブはもちろん、行政や地域社会も巻き込み、幅広く議論しながらスポーツの価値を共有したい。

[京都新聞 2017年5月24日掲載]

▼前の記事取材ノートからTOP次の記事▲

各ページの記事・写真は転用を禁じます
著作権は京都新聞社に帰属します
ネットワーク上の著作権について―新聞・通信社が発信する情報をご利用の皆様に(日本新聞協会)
電子メディアおよび関連事業における個人情報の取り扱いについて
京都新聞
京都新聞TOP