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高浜原発再稼働 京都の理解得る仕組みを

舞鶴支局 加藤華江 
京都府や府内7市町が出席した高浜原発に関する地域協議会幹事会(11日、綾部市川糸町・府綾部総合庁舎)
京都府や府内7市町が出席した高浜原発に関する地域協議会幹事会(11日、綾部市川糸町・府綾部総合庁舎)

 大津地裁による運転差し止めの仮処分決定で停止していた関西電力高浜原発4号機(福井県高浜町)が17日に再稼働した。取材中、高浜町に隣接する舞鶴市では原発近くの地域に「何を言っても動く」と無力感が漂い、京都府内の自治体からは関電と安全管理や体制について議論しているさなか再稼働に向けた準備が進むことに批判が出た。府内が軽視されるような現状に強い違和感を持つ。

 高浜原発のゲート前は17日、騒然としていた。「トラブルが相次ぎ、制御できない」「事故が起これば京都にも大きな被害が出る」。京都や滋賀からも再稼働への反対の声を届けるため駆け付ける人がいた。一方、舞鶴市での取材ではゲート前と違っていた。原発に近い地域でも「原発は動かない方がいいが、何を言っても動くから」との反応が多く、無力感が広がっていると感じた。

 これと同じような思いを抱いたのは、1月に高浜原発であったクレーン転倒事故を受けて開かれた同原発の地域協議会幹事会でのやりとりだ。幹事会は2〜5月に計3回開催され、府と同原発から30キロ圏の地域がある府内7市町の関係者が関電に安全体制などをただした。

 今月11日に綾部市であった3回目の幹事会では、舞鶴市の堤茂副市長が「安全対策の納得が得られる説明が十分でない中で、なぜ再稼働の作業が進んでいるのか。非常に住民感情を逆なでする」と厳しく指摘した。市はクレーン事故に加え、昨年あった冷却水漏れと原子炉緊急停止についても共通する原因と対策があるとして全体的な安全文化の醸成を求めていた。府も「同じ思いはある」と不信感を示した。

 関電の説明は、府と関電が2015年に結んだ安全確保の協定により、府と7市町が取り決めた確認書に基づき行われた。しかし、一連の説明の場は、再稼働の流れとは無関係だった。舞鶴市の担当者は「原発が動きだしてから、クレーンが倒れるような事故が起きたら大変なことだ。再稼働するにしても、安全対策への理解を得てからではないか」と憤るが、その思いはどれほど伝わっただろうか。

 舞鶴市は全国で唯一、府県を越えて5キロ圏の地域があり、原発事故が起これば甚大な被害や多数の避難者が予想される。そのため府や市は立地自治体と同じく再稼働の「同意権」を求めている。関西や九州では、同意に関して法制化を求める声が出ているが、まだ国への要望という段階だ。

 高浜原発では、運転開始から40年を超え運転延長が認められた1、2号機も再稼働に向けて工事が進む。府内の声が届かない状況のままなら不満や不信は大きくなるだろう。同意権を含め、地元の理解を得る在り方についてもう一度議論する必要がある。

[京都新聞 2017年5月31日掲載]

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