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森林環境税の活用 「流域」視点で再生目指せ

南丹支局 榊原良
プロジェクト枠の交付金で導入した機械で、まきを作る共同作業所の通所者たち。森林環境税を森の保全や林業振興にどう有効活用していくのかが問われている(京都府京丹波町篠原・町共同作業所和知支所)
プロジェクト枠の交付金で導入した機械で、まきを作る共同作業所の通所者たち。森林環境税を森の保全や林業振興にどう有効活用していくのかが問われている(京都府京丹波町篠原・町共同作業所和知支所)

 広い森林が広がる「森の京都」エリアの丹波地域は、樹齢50年以上の伐採適齢期を迎えた木も多いが、地場産業の林業は木材価格の低迷など不振にあえぎ、手入れが行き届かない森も多い。京都府は2016年度、森林保全や木材の需要拡大の財源として、豊かな森を育てる府民税(森林環境税)を導入した。丹波の各自治体は「貴重な財源」と期待を寄せるが、制度が施行されてから日が浅いこともあり、活用は手探り状態だ。

 昨年3月、由良川・桂川上中流域で、京都、南丹、綾部3市と京丹波町に及ぶ約6万9千ヘクタールが「京都丹波高原国定公園」に指定された。10月には南丹市などで全国育樹祭の記念式典もあり、「森の京都」の盛り上がりはピークを迎えたが、本年度は関連イベントも減少。京丹波町内では、解散に向けて話し合いを進めている森林生産組合もあり、林業振興や森林保全への機運の高まりは鈍い。

 府が導入した森林環境税は、人口や森林面積などに応じて各市町に配分される「基本枠」と、自治体の提案から対象事業を選ぶ「プロジェクト枠」で交付金が配分される。

 丹波2市1町で基本枠の使い道を調べると、亀岡市は16、17年度とも824万円が交付され、ペレットストーブの設置などに使った。17年度は竜ケ尾山に雲海展望台を作る。南丹市は16年度が1047万円、17年度は1146万円で、民家裏の危険木の撤去などに活用。京丹波町は16年度が536万円、17年度は1180万円で、小学校近くに教育林の整備などを進める。

 自治体の熱意が見えるのがプロジェクト枠だ。京丹波町は16年度に16件、17年度に12件の事業を提案し、府内の自治体で最多にのぼった。

 間伐材を使い、町共同作業所和知支所「ともども」(篠原)が取り組むまき作りなど、採用数は両年度で計7件にとどまった。しかし、町農林振興課は、町森林組合との連携を密にし、林業振興のアイデアがあればすぐ提案につなげるように努めているといい、「林業従事者の高齢化が進んでいる。できる事はすぐにでもやらないと荒廃が進む」と焦りをにじませる。

 亀岡市は、市林業センター(下矢田町)の一部改修費に300万円の交付が決まった。一方、南丹市は「育樹祭の式典が多忙だったため、林業者の意見をくみ上げきれなかった」(市農林整備課)として、17年度の提案を見送った。プロジェクト枠の活用は、財源を握る府に林業の現場の声を届けることにもつながるはずで市町村の役割は大きい。

 注目したい事例もある。プロジェクト枠では、綾部市の中上林地区と京丹波町の和知地域を結ぶ「山田道」と「和知道」の約6キロを、トレッキングコースとして整備する事業に綾部市と京丹波町が共同で取り組む。由良川が流れる両市町のように、行政の枠を超えて複数の自治体が協力する取り組みは興味深い。

 川は、森林を水源として流域を潤す。川の恩恵を受ける自治体が「流域」という視点で森作りを考え連携することは、より効果的な事業を打ち出せる可能性を広げる。環境税の目的でもある森林の再生にもつながるのではないだろうか。

[京都新聞 2017年10月4日掲載]

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