The Kyoto Shimbun

(13)人との出会いや励ましに感謝


高台状の燿織部器に、いちごのババロアを盛り付けて春のデザート(撮影 吉田清貴)

 昨年3月より始まったこの連載も、とうとう最終回となりました。主人の器に家庭料理を盛り付けて、季節のお花を生けるといった企画をいただいた時は、自信がなく、ご迷惑をかけないか少し心配でした。しかし、作品を多くの方に知っていただくよい機会。それに、器と食は切り離せません。盛り付けることで器の新たな発見、提案ができるのではないかとの思いからお引き受けすることにしました。

 日々何げなくしてきたことですが、いざ始まるといろいろ欲もでてきて、考え、悩み、上手に見せなければとの思いも強くなり、不安もありましたが「毎月楽しみに見せてもらっていますよ」「お料理作ってみます」など励ましの言葉をかけてくださるので、少し気持ちが軽くなり、次のメニューを考えることを楽しみつつ、自由な発想で取り組むことができました。(泰子)

 高校を卒業して京都市工業試験場で陶芸の基礎から勉強した。手が一番の道具。土の冷たさ、温(ぬく)もりを知り、土が時間とともに変化するさま、釉(ゆう)薬を掛け焼成することで陶器に生まれ変わることに感動! まるで手品(マジック)をしているような不思議さが今も忘れられない。修了後、陶芸作家に弟子入り、住み込み修業と貴重な体験、勉強をさせてもらった。独立後も日々新鮮で、無我夢中のうちに作品を販売してくださる店との関係もできていった。

 公募展出品、個展開催の時には人との出会いあり、ありがたいことに買い上げてもくださる。作品への批評やご声援も励みとなる。作品を購入したお客さまに誘われ、ご自宅にお伺いすると、作品に花やご馳走(ちそう)が盛られてテーブルに。あの時の器が表情を変えている。こんな使い方もあるのか…。想いもよらぬ料理が盛られ、生き生きとしていて新たな発見がある。作り手として一番うれしい出会いであり、感謝です。

 器ごころの連載は終わるが、陶芸への道は終わらない。さらなる課題、想い入れへの挑戦、欲もある。今焼き上げている銅釉の赤織部作品制作は、まだまだこれから発展させたい。その一方、鉄釉による作品も進め、新たな油滴天目を目標に目指したい。どのようになることやら…。

 子供のころより人前で話すことができず、職人として物作りの道を選び進み38年がたった。その間、弟子入りしていた若者も独立し、陶芸家として作品発表している。5年前から、地元小学校のクラブ活動の作陶指導に、大学にも非常勤講師として出向いている。

 2006年には滋賀の守山市民ホールの企画にて漆作家と2人して現代美術展−現代への視点−を開催。公募展に出品してきた初期の作品から近作を一堂に展示発表することができた。国際交流総合展での発表もある。グループ展ではあるが海外でも発表した。今後はもっと視野を広げ、海外での個展発表ができるよう願い、意欲を出して制作に励んでまいります。(雅美)

 最終のお料理は随分と迷いましたが、食事の最後に出されるデザートがよいということになりました。買い物に出かけると、色鮮やかで真っ赤ないちごに引き付けられフレッシュないちごをたっぷり使ったお菓子に。桜をイメージさせるピンク色に仕上げ、甘酸っぱくふわっと柔らかなババロアを作り、燿(よう)織部器に盛り飾ってみました。春彩を是非味わってください。(泰子)

 いちごのババロアを飾った器は、お皿の広がりを見せるため高台を小さく作り出し、お皿を浮かせた形に緑織部を掛け焼き上げる。再度、木炭を用いて炭化焼成にて燿変させた燿織部器です。(雅美)

(おわり)

「片山雅美・泰子 器ごころ食ごころ−自作に盛る−」展を開催し、連載紙面と合わせ作品を並べます。ぜひお出かけご高覧ください。4月11日−20日午前11時−午後7時(最終日は午後5時まで)、京都市東山区祇園花見小路四条下ル西側の楽空間 祇をん小西 電話:075(561)1213

いちごのババロア(直径16センチの丸型1台分)

【材料】
いちご450グラム、グラニュー糖75グラム、レモン搾り汁大さじ1、生クリーム200cc、キルシュ(さくらんぼのリキュール)大さじ1、ゼラチン小さじ2、ビスケット(軽い食感のもの)10枚、ペパーミント適宜、底の抜けるタイプのスポンジ焼型
【作り方】
(1)ゼラチンは大さじ2の水でふやかしておく。
(2)ビスケットを適当に砕き、型の底にすきまなく敷き詰める。(厚さ1センチぐらい)
(3)いちごは軽く洗いへたを取って裏ごししてピューレにする。(ミキサーやフードプロセッサーにかけてもよい)
(4)ボウルにいちごのピューレ(250グラム)、グラニュー糖70グラム、レモン搾り汁を加えて混ぜておく。
(5)別のボウルに生クリーム(150cc)、キルシュを入れて、ボウルの底を氷水に当てながら泡立て器ですくってさらっと落ちるくらいまで立てる。
(6)ゼラチンを湯せんで溶かし、(4)を少し入れてゼラチンをむらなく混ぜてから(4)のボウルに加え、ゴムべらで混ぜ合わせる。
(7)(6)を氷水に当て、とろりとするまでゆっくり混ぜながら冷やす。
(8)むらなく混ざるよう(7)に(5)を1/3ほど加えてさっと混ぜてから(5)のボウルに戻し入れ、泡立て器でムラにならないように混ぜ合わせる。
(9)型に流し入れ、冷蔵庫で冷やし固める。
(10)残りの生クリーム(50cc)にグラニュー糖5グラムを入れ、ボウルの底を氷水に当てながら八分まで泡立てる。 (11)(9)を型から抜きお皿にのせて(10)を表面に塗る。器に盛り付け、いちごやペパーミントを飾って召し上がって下さい。

[京都新聞 2008年3月24日掲載]

毎月第4週に掲載します。

片山雅美(かたやま・まさみ)
1950年京都市生まれ。京都市工業試験場修了後、陶芸家西川實氏に師事。日展会友、京都工芸美術作家協会理事、日本新工芸家連盟評議員。
片山泰子(かたやま・ひろこ)
1954年、京都市生まれ。

自作のティーセットで甘い春の味をいただきます

想い出の作品


2007年10月に焼き上げた最新作で、第39回日展に入選した「秋映」です。手びねり成形し、4つの足で浮かせた器。素焼き後呉須にて草華を描き、チタン釉と織部釉を掛け分けて炭化焼成、酸化、炭化と3度の窯焼きをして、釉を燿変させて秋野をイメージして焼き上げた作品です。


旬花


さくら、麦、チューリップ、桂華、アリウム・コワニー、ポピー。土を薄く延ばし、くるくると巻き上げた筒を折り曲げて、人が座すイメージの小さな瓶を使い、春・花爛漫の下で楽しげに話す様子に生け込んでみました。

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