出版案内
福祉事業団

水害避難用、木製の舟いずこ 京都、このままでは消滅も

村田治夫さん宅に残る避難用木製ボート。倉庫のはりにつるして保管している(京都市南区)
村田治夫さん宅に残る避難用木製ボート。倉庫のはりにつるして保管している(京都市南区)

 水害時に明治から昭和の中ごろまで使われていた避難用木製ボートの保存・活用を求める声が、京都市内の農家などから出ている。河川沿いの集落で広く普及していたが、徐々に姿を消して今ではほとんど見掛けなくなった。当時の船大工の技術もちりばめられ、伝統技術を知る資料がこのままでは消えかねない。

 避難用ボートは長さが10メートル前後の木製で、当時の有力農家などが所有。自宅倉庫の軒下などに置き、水害時の住民避難や家財の運搬に使っていたという。

 京都市南区の上鳥羽奈須野で農業を営む村田治夫さん(77)宅にも、明治初期につくられたとみられる1隻が残っている。

 上鳥羽は鴨川、桂川、西高瀬川の3河川に囲まれ、昭和中ごろまで大雨や台風の度に浸水被害に悩まされていた。妻の冨久子さん(74)は「1959(昭和34)年の伊勢湾台風でボートに乗り母や姉と避難した。消防や警察も手が回らず、住民の避難のため朝から晩までボートは出っぱなしだった」と振り返る。

 村田さんによると、地域では近隣農家と上鳥羽小にそれぞれ1隻残るだけで、時々地域の子どもに見せて、水害の怖さを教えることはあるが、「このままではやがて消えてしまう」といい、保管・活用で何かいい方法がないか悩んでいる。

 また、木津川、宇治川周辺の京都府南部地域でも利用されていたが、戦後の治水整備で廃棄が進み、山城郷土資料館(木津川市)によると、2、3隻しか残っていないという。同館の横出洋二資料課長は「江戸時代から大正にかけて隆盛した伏見の船大工が制作したものが多い。95年に最後の船大工が亡くなって技術が途絶えた今、当時の技術を語る資料としても貴重」と話し、保存を呼び掛けている。

【 2017年03月20日 21時00分 】

ニュース写真

  • 村田治夫さん宅に残る避難用木製ボート。倉庫のはりにつるして保管している(京都市南区)
  • 上鳥羽小の郷土資料室に寄贈された避難用ボート。児童が地域の歴史や防災について学ぶ際に使われている(京都市南区・上鳥羽小)
京都新聞デジタル版のご案内

    観光・社寺のニュース

      政治・社会

      温暖化に強いモモ開発、農研機構
      「さくひめ」、味や大きさ上

      20170628000067

       農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)は28日、地球温暖化に強い新品種のモモ「さく..... [ 記事へ ]

      スポーツ

      ドジャース前田が好投、6勝目
      エンゼルス戦

      20170628000082

       ▽ドジャース―エンゼルス(27日・ロサンゼルス) ドジャースの前田は先発して7回を投げ、..... [ 記事へ ]

      経済

      東証反落、終値94円安
      利益確定売り強まる

      20170628000084

       28日の東京株式市場は、このところの相場上昇を警戒した利益確定の売りが強まり、日経平均..... [ 記事へ ]

      教育・大学

      不当要求に対する基本方針策定 京都府立医大で調査委会合

      20170626000131

       京都府立医科大付属病院の虚偽診断疑惑などを検証する府公立大学法人の調査委員会の第3回会..... [ 記事へ ]

      環境・科学

      伊方1号機の廃炉計画認可
      原子力規制委、5原発目

      20170628000054

       原子力規制委員会は28日の定例会合で、運転開始から40年となる四国電力伊方原発1号機の..... [ 記事へ ]

      国際

      M・カーさん、9億円宝石当局に
      米の汚職捜査に協力

      20170628000069

       【ロサンゼルス共同】オーストラリアの人気モデル、ミランダ・カーさんの代理人は27日、マ..... [ 記事へ ]