出版案内
福祉事業団

全力指導が故郷・福島への恩返し 女子駅伝、和歌山・長山監督

東日本大震災で被災した故郷・福島への思いを胸に、選手を指導する和歌山チーム監督の長山さん(右)=和歌山県田辺市
東日本大震災で被災した故郷・福島への思いを胸に、選手を指導する和歌山チーム監督の長山さん(右)=和歌山県田辺市

 東日本大震災から6年を迎える今年も、被災した故郷を思いながら都大路に臨む指導者がいる。福島県いわき市出身で全国女子駅伝の和歌山チーム監督を務める長山丞さん(35)。震災後に福島を離れることを悩んだ時期もあったが、指導者としての成長が恩返しになると信じる。「少しでも前向きな刺激を届けられたら」と全力のレースを誓う。

 福島県沿岸部のいわき市小名浜で育った。中学で全国男子駅伝に出場し、陸上の強豪・田村高時代は全国高校駅伝や国体で活躍。順天堂大で箱根駅伝を3度走り、卒業後は実業団にも所属した。

 現役引退後、母校の田村高でコーチをしていた年に東日本大震災が起こった。学校で地面が30~40センチほど動いているような横揺れに遭い、校舎に亀裂が入った。母親が住んでいた県沿岸部の実家は揺れで半壊、祖母の家はあと約50メートルまで津波が迫った。津波で全壊した親戚の家もあった。

 学校は避難所となり、長山さんは食事の配給や暖房器具の燃料の入れ替えに奔走した。福島第1原発事故の影響で、妻の実家がある神戸市に一時避難もした。その後、大学時代の恩師から和歌山の陸上強化の打診を受け、2012年に県内の神島(かしま)高(田辺市)へ赴任した。

 震災で進学できなかったり、夢を諦めたりする人が大勢いた。復興や原発事故の収束が見通せない中で、福島を離れることに「これでいいのか」と自問した。それでも「自分にとってベストの選択か分からないが、信じる道に突き進む勇気も必要」と言い聞かせ、新天地を選んだ。

 豊富な競技経験を生かし、神島高では赴任2年目に女子を全国高校駅伝出場に導いた。2年前から全国女子駅伝の監督を任され、周囲の期待も大きい。「福島で育てられた自分の全てを和歌山で発揮し、県の競技力向上に貢献したい。成果を出さなければ、こっちに来た意味がないと思っている」と覚悟をにじませる。

【 2017年01月12日 16時00分 】

ニュース写真

  • 東日本大震災で被災した故郷・福島への思いを胸に、選手を指導する和歌山チーム監督の長山さん(右)=和歌山県田辺市
京都新聞デジタル版のご案内

    地域のニュース

    全国のニュース

      政治・社会

      大久保氏再選、新人2人を破る 滋賀・彦根市長選

      20170423000126

       任期満了に伴う滋賀県彦根市長選は23日、投開票され、無所属現職の大久保貴氏(53)が、..... [ 記事へ ]

      スポーツ

      サッカー、本田は終盤に出場
      イタリア・セリエA

      20170424000001

       【ミラノ(イタリア)共同】サッカーのイタリア1部リーグ(セリエA)で、本田圭佑のACミ..... [ 記事へ ]

      経済

      「生活に最低限の所得給付を」 京都でスイスの活動家らシンポ

      20170423000099

       暮らしに必要な所得を全員一律に支給する「ベーシックインカム(BI)」について、スイスで..... [ 記事へ ]

      観光・社寺

      特産の天然砥石で研ぎ体験 京都、展示施設リニューアル

      20170423000036

       京都府亀岡市の特産品を紹介する展示・体験施設「森のステーションかめおか」が22日、同市..... [ 記事へ ]

      教育・大学

      学生アート、作者と会話楽しんで 京都のギャラリーで展示販売

      20170422000121

       芸術系の学生らの作品を見学、購入できる「クリエイターズマルシェ」が22日、京都市中京区..... [ 記事へ ]

      環境・科学

      サンゴ白化防止、新たな保護区を
      専門家会議が緊急提言

      20170423000103

       沖縄県や鹿児島県で昨年、過去最大級のサンゴの白化現象が起きたのを受けて、環境省は23日..... [ 記事へ ]