京都市街

京都市街

 「衝撃 京都市、財政破綻寸前 第2の夕張へ」と題した投稿が、参院選の公示後にX(旧ツイッター)で拡散されている。投稿は、1~4年前のものとみられるニュース記事の見だしや図表を引用。市は「現在は財政状況は改善している」、専門家も「今は破綻寸前ではない」としており、注意が必要だ。


 投稿は1500回以上リポスト(転載)され、5千近い「いいね」が付いている。投稿はリンク先のページに飛ぶようになっており、そこではニュースの見だしのような文言が三つ並ぶ。「京都市、日本人減少全市町村ワースト1位 1年で12000人超減る」「京都市、人口が『振り向けばさいたま』に」「京都市、財政破綻の危機『将来負担比率』191%で政令市ワースト1位」だ。


 これらの記載の詳細を調べた。まず一つ目の「京都市、日本人減少全市町村ワースト1位」。確かに2020年から3年間は京都市が日本人減少のワースト1位で、京都新聞も「京都市の人口 日本一減った」(22年8月28日付)と報じた。ただ、市によると23年のワースト1位は神戸市で、24年についてはまだ発表されていない。


 二つ目の「京都市、人口が『振り向けばさいたま』に」に添えられたリンクを開くと、「政令指定都市の人口上位10位の推移」という図表が表示された。京都市が8位、さいたま市が9位で、順位は現在も変わらないが、詳しく調べるとこの図表は23年12月3日公開の産経新聞のデジタル版に掲載されたものと同一だった。


 三つ目の「京都市、財政破綻の危機『将来負担比率』191%で政令市ワースト1位」はどうか。付けられたリンク先の図表の出所を調べたところ、21年5月26日付読売新聞朝刊に掲載されたものと同一と分かった。やはり古いデータの引用だ。


 京都市財政室は「22年度決算以降、積立金を取り崩す『特別な対策』をせずに黒字決算を達成している。また過去の負債も毎年35億円返している」と説明する。高齢社会の進展で福祉関連予算の増大が見込まれ「油断できる財政状況にはない」ものの、「25年度も積立金を取り崩さない予算編成となっている。北海道夕張市のような財政再生団体になることはありえない」とする。


 京都産業大の菅原宏太教授(地方財政論)は「破綻寸前かというと、全くそうではない」と語る。自治体が抱える負債など「借金」の大きさを表した京都市の将来負担比率は193・4%(20年度)から140・5%(23年度)に改善した。また1年間の収入に占める「借金」返済額の大きさを示す実質公債費比率は近年11%台であり、「イエローカード」となる早期健全化基準の25%とは隔たりがある状況だ。


 投稿者が古いデータを引用した意図は不明だ。ただ菅原教授は「京都市財政はリーマン・ショックやコロナ禍など外的要因のショックに弱いことは確か。今後も油断できない、という市の見解は正しい」と話す。